ふくろくん

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【感想ぽろぽろ】きのこ帝国「桜が咲く前に」

最近ぱたりとブログを書かなくなりまして...

日々ブログを書かない代わりに、運動とかして心身を整えることに時間を割いています。

それにブログ以外のアウトプットとして、作曲をちまちましていて、帰宅して気が向いたらデモを作って...音楽活動の方が盛んです。 

去年より始まったバンド「シロキジ」。バンドメンバーもまだ「シロ記事」の方に書いておらずなのですが、実はもう3人ほど新たに増えていて活動自体はとても順調です。(後日書きます!)

 

というわけで、今回は感想文なので色んな主観による推測がありますが、ささっと本題へ行きましょう!

桜が咲く前に

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きのこ帝国の『桜が咲く前に』が先日発売されましたね!ワーパチパチ!

東北では4月下旬に桜が咲き始めます。ヴォーカルの方は東北出身(岩手県)で、上京して10年でこの曲を書いたらしく...ふくろも東北出身でして、地元との距離の取り方に関してどことなく親近感がありました。

きのこ帝国「桜が咲く前に」特設サイト

そういえば自分もあと数年したら地元出て10年かあ

2015/04/11 01:18

桜って苗を植えてから花が咲くまでに10年かかるらしいんですね。それが自分が上京してからちょうど10年という背景とリンクして『すごい!』と思った。

 

そして珍しくアマゾンでCD予約しました。シングルCD予約って自分の人生では初めてではないだろうか...

ふわふわとしたフィルム写真を撮るかくたみほさんがジャケットも撮っているということで、桜の写真が良い!

 

上に貼った『桜が咲く前に』のプロモビデオですが、盛岡と東京をまたぐ物語のようで、とある男性がフィルムカメラ好きの女の子と付き合ってた頃を回想する...といった内容になっています。羨まし過ぎる思い出だ。

男性が寄りかかっている、電車が見える橋(御茶ノ水ですね)は、自分がよくフィルムカメラで撮っていました。ちょっと嬉しい。

そうそう、岩手県盛岡市は『彼女とカメラと彼女の季節』の舞台でもあるんですよね。なので漫画で出てくる場所もちらほら映像に現れてきます。手前味噌ですが、漫画について以前書きました。

 

 

 

”10年後のきみはどこの誰と笑っているんだろうか”

歌詞も映像もこの一言に尽きるなあ...としみじみ何度も鑑賞しています。

 

最後まで観て、おおっと思ったのがオチが前作にあたるアルバムのこの曲につながります。おそらく映像も音楽も?(見返したらワンカット目からわかるようになっていた...)

 

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東京

『東京』の歌詞は、男性が新たに出会った女性(恋人)サイドから書かれているようで、”まだあなたの心のなか、他の誰かがいるのだとしても” の”あなた”が『桜が咲く前に』で出てくる男性で、”他の誰か”が回想の中の女性なのでしょうか。

男性が思い返すのは青春としてなのか、それとも...

ちなみに『東京』の歌詞では、”あなたに出逢えたこの街の名は「東京」”と言っていて、『東京』の女性も上京組なのかもしれません。地方出身と仮定した時に、もしかすると男性と同様に、その女性も過去の想い人を思ったりすることはなきにしもあらずで...いやいや、こんなことを考えているともやもやしてしまいますね。

 

スピカ

公式サイトのインタビューによると、『桜が咲く前に』につながる曲が他に2つあるそうです。同シングルに入っている『スピカ』と昨年発売されたEPと同タイトルの『ロンググッドバイ』。

前者は『桜が咲く前に』のアナザーストーリーに位置するもの。

一応スピカとはなんぞや?な人のために...

スピカ(Spica)は、おとめ座α星おとめ座で最も明るい恒星で全天21の1等星の1つ。春の夜に青白く輝く

スピカ - Wikipedia

春の星なんですね。日本では「真珠星」としても知られているよう。 

作詞作曲をしている佐藤さんによれば、

『桜が咲く前に』が見送られた側なら、『スピカ』は見送った側の物語として書いたところもあります

もし『スピカ』が見送ったものであるのなら、本来は1人称が「わたし」となり女性視点で語られるのですが、この曲では『桜が咲く前に』と同様に「ぼく」のままになっていますね。ここからが深読みなんですが、見送った側の話というのなら、実は「地元に残り、『東京』に出てくる彼を見送った女性の気持ち」を歌ったのでは?と思いました。これは完全な妄想なので、素直に解釈するのであれば「東京」にある歌詞の一部をストーリー化したもの、となるのでしょうか。

まだあなたの心の中

他の誰かがいるのだとしても

 

1人称は逆転しているものの、対として、歌詞の中では"頬の上に雪が落ちる"という共通した描写もあります。

この曲は、「見送った側が待っている」話なんですよね...ただ時系列があいまいなのですが、おそらく『桜が咲く前に』の回想部分、ふたりが別れた直後の気持ちを歌っているのかな、と思います。10年後でも待っている可能性も完全には捨てきれないのですが、個人的な感覚だとちょっと純愛の域を超えそうな...

 

ロンググッドバイ 

『東京』と『桜が咲く前に』と続いていく3部作の始まりとなるようです。といっても時系列で最初に来るというわけでもなさそうです。

”言えない言葉は日常にうずめ、忘れたふりしてかりそめの愛を知る”から歌が始まりますが、『桜が咲く前に』の女性視点の言葉になるのでしょうか。『スピカ』から暫く経ち、女性が吹っ切れた心情なのか本当は”彼”を求めているのか。理由は後に書きますが、なんとなく前者な気がします。

サビの”再生USインディー”から連想してしまうのが、『桜が咲く前に』で一瞬出てくるレコードを選ぶシーン。思い出の曲がアメリカのインディーズバンドの曲だったのかもしれません。

 

噂で聞いたよ 意外と平気さ 愛おしい日々だけ 思い出してね 

ありがと さよなら 幸せになってね

そして曲の終わりに出てくるこの歌詞はあまりにストレートで、恨みがそれなりにあるのではと邪推してしまいました。もしかしたら『東京』に出てくる女性のことを聞いて、この言葉が出たのかもしれませんね。ただ、この部分の真意も知りたいし、せっかく3部作なのだから『ロンググッドバイ』も早めに映像化して欲しかったり...

 

 

突然ですが、それぞれの歌詞の内容から、この感想文の中では、これらの作品を時系列に並べたときに、以下のようになるのではないかと推測。

1.『スピカ』(男性が東京へ行った直後の盛岡の女性の思い)

2.『桜が咲く前に』(*プロモでは10年が経ち、男性が10年前を回想するが、歌詞だけでは『スピカ』の前?)

3.『東京』(新しく出会った女性の男性に対する思い)

4.『ロンググッドバイ』(男性と『東京』の女性が結婚したことを聞いた盛岡の女性の思い)

 

『ロンググッドバイ』を除く3作品では必ず「星」が歌詞の中に登場します。「星」をキーにして、二人の女性が見つめる先を比べると面白いなと思いました。

『桜が咲く前に』『スピカ』(『ロンググッドバイ』)の女性は、盛岡で男性とともに星空を見上げ、その先にある星(スピカ)を見つけたいと言っています。

対して『東京』の女性は、

”まだあなたの心のなか、他の誰かがいるのだとしても 星のない、この空の下では 気づかないふりして隣にいたい”

 ”星のない、この空の下”を見てるんですよね。あまり未来や希望が無いように聞こえる言い方。男性が、『桜が咲く前に』の女性をまだ引きずっていることが筒抜け(もしくは勘違いしてる)なのでしょうか。あえて過剰に表現するのであれば、「だましだましの関係でも一緒にいたい」のかもしれません。

(少し逸れますが、確かに東京は明るすぎて夜は星見えないわーとか思ったりします...)

 

それでも前を向く

3部作のそれぞれの曲が切り取る3人の心情から、過去の失敗を抱え、先が見えない未来の中を進まなくてはならない虚しさが垣間見えます。ここまで「暗い曲ばかりだ」みたいな紹介になってしまっている気がしますが、登場する3人は少なくとも「過去と決別し、前を向こうとしている」のは明らかだと思います。

ただ、登場人物全員が、後ろめたい気持ちは全くない!というわけではないのです。性別問わず、人ってびっくりするぐらい後ろ髪引かれ隊です。それでも、3人とも曲の終わりにはちゃんと決断をしているのです。

『ロンググッドバイ』では、盛岡の女性が”さよなら ありがと 幸せになってね”と永遠となる長い別れを告げ、『東京』の女性は、”気づかないふりして隣にいたい”と今後のふたりのために過去の亡霊を消し去ろうとする、『桜が咲く前に』では、男性が”君がくれた言葉を強く抱きしめて また歩き出そう”と、過去にはもう戻らないことを受け入れています。

少し話が逸れますが、きのこ帝国が作る曲・世界観は、ヴォーカルの佐藤さんの実体験に基づくものが多いようですが、1つのパーソナルなテーマを別視点で描いていくのって結構難儀だと思うんですよね。何年にも渡って掘り下げ続けて、曲というひとつの集大成になるまで、細部を作り込み、無駄を削ぎ落とすって結構重労働で、1日2日じゃ作品という形に落とし込むのには時間が足りないですよね。

 

これはあくまで自分の嗜好なのですが、そこまで考え抜いて作る作品において、しかも他人に発するメッセージとして送り届ける作品を究極的に突き詰めて「実態はこうだった!」と生々しい世の中の苦い現実を突きつけることは避けたくなるものではないかな、と思うのです。

じゃあどうするかというと、実態を見せた上で、受け手に対してその先にある希望を見せてあげる。全員がやるべきとは思いませんが、これはこれで作品や物語を世に送り出す人間のひとつのあるべき姿だと常々感じていて、この3部作も練りに練った末、希望をそれぞれに置いておいた、と自分は信じたいのです。完全に妄想と偏見ですが。

自分は作品が暗ければ暗いほど、悲しければ悲しいほど、作者がちらっと見えるよう配置した希望を見つけた時にとても喜ぶ人間で、今の所こんな自己都合で無理矢理な解釈をしています。

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ちなみに『桜が咲く前に』は、きのこ帝国の 記念すべきメジャーデビューシングルなんですが、前作のプロモビデオからこういう繋げ方ができるものなのかとちょっぴり感心もしました。(なんか大人の事情入りそうじゃないですか)

 

今はシングルを丸々3曲分ヘビロテして聞いてます。ギターかき鳴らすオルタナロックに戻れたのはきのこ帝国のおかけです。本当にありがとう。

『桜が咲く前に』のサビ直前のギターの入り方はとてもシンプルなのだけど、ショートディレイがかってうまくはめたなーとそこばかり聞いてます。(右耳に注目!(?))

2曲目の『Donut』は、エロさと醜さ、衆愚さが出てる歌詞がよかった。

 

おまけだけど重要だったこと

それとそれとちょうど「桜が咲く前に」の発売日が、パリスマッチのヴォーカル、ミズノマリさんの誕生日だったらしくて、お祝いの言葉を送ったらお返事返ってきて有頂天でした。