ふくろくん

コンテンツマーケティング、音楽、立ち話、そして牛乳

眠れない時は音楽の歌詞をじっくり読んで寝落ちするのも良いかと思いました

最近の音楽視聴について考えてしまった

EP、アルバム、プレイリスト、シャッフル機能、ストリーミングサービス、はたまたライブ...

音楽体験においてバンドル(束)で聴くのは昔から当然とされながらも、曲の順番や組み合わせをカスタマイズできる機能は多様化してきた。

多かれ少なかれ、視聴環境のモバイル化もそういった進化を助長しているのだろう。

それらがセレンディピティという名の素敵な発見をもたらす。新たな作品との出会いだったり、作品の意外な一面を見つけるのに、バンドルで聴くことはとても理にかなった手段だ。

 

しかし...

 

しかしThere is always "but"がつく...

 

多くの音楽がとてつもないスピードで日々生まれ、消化されていく中で、自分はひとつの作品に対して真摯に向き合い、自らの地肉として内に取り込むことができているのか?という疑問が時折頭に浮かぶ。

(これは他のコンテンツでも言えるし、思春期を通ってから年に3〜4回くらいは発症する季節病だ)

 

たくさんの音楽たちとすれ違いながら、「良い人がいないかな」と、ろくに自分から話しかけることをせず、ひとりの人間すら知ろうとせず、交差点の横断歩道を何往復もしていないだろうか?

キュレーションサイトのエンタメニュース群と同様に、1秒足らずで判断・消化し、見返りもせずに新しさばかりを追い求めることに終始していないだろうか?

 

それ自体はまったく悪いことではないが、先に挙げた意外な一面を見つけるという点において、別のアプローチを取りたがっている自分がいることに気づいた師走。サンタが全ての終わりの鐘を鳴らしている...

というわけで、それを払拭するためにできることを悶々と考えた。

 

ひとつはリピート機能だ。

 

たった1曲だけを楽しむためのこの繰り返しサービスは、もはや演奏者や作曲者にしか使われない印象がある。確かに、楽曲の構成、展開、ミックスなどは何度も聴き返して細部を把握したい部分ではある。

しかしながら、1曲だけを休み無くリピートし続けるのは少々口さみしい。

そもそも演奏の練習や楽曲分析をしない人にとって、3〜5分程度の曲を繰り返し休みなく聴き続けることができるのだろうか。

そして、そういった分析視点が入った時点でそれは音楽鑑賞ではないのかもしれない。

実際に拷問で使われるほどに辛いのだから、あまりやっている方は多くないと信じたいが、精神を狂わすくらいしんどい分だけ強烈に音楽にコミットできる方法なのだ。

wired.jp

 

もう一つは、違ったフォーマットを取り入れるクロスメディア作戦だ。

バイオグラフィー、楽曲が生まれる背景などを記録したものでいえば、書籍(ライナーノート含む)や映像作品など、チャネルとしていくつかの選択肢がある。音楽を聴かずとして、作品に関する枝葉の知識を収集し、文脈として再構築して自分の脳内に埋め込むのだ。

得られた豊富な知識が曲の細部を肉付けしていくので、実際に音楽体験の密度を高める、という効果があるのだろう。

 

ここまで書いて、「違うんだよ...もっとこう...!」感が高まってきた。

もっと音楽に直接コミットしたい、音楽対わたしというマンツーマンで、ふたりだけの世界を作り出したいのだ。

 

そしてようやくタイトルに至る...

自分が試してみて最も良かったと思えたのが、音楽を聴きながら、歌詞カードを読むことだ。恥ずかしいくらいに愚直かつ使い古された施策だ。

しかし、私が思うにこれを行なっている人はかなり減ってきているのではないだろうか。

ちなみに、自分はことばを右から左へ聞き流すのが不名誉にも得意らしく、一生懸命歌詞を聴いてもすんなりと頭に入ってこない。そんな私でも、読みながらであれば、曲が持つ世界観、歌詞の意図などをある程度推察できるくらいに言語能力をアップさせることができた。

home.att.ne.jp

 

【余談】先日、久保みねヒャダのこじらせナイトの1企画で、往年の名曲の歌詞を深読みしようというものがあり、ぼんやり眺めていだけだが意外と楽しめた。松田聖子の歌も、backnumberの歌も大体童貞の歌ということになっていた。

www.fujitv.co.jp

  

文字と音楽を絡め、ビジュアルイメージに引き起こす、そしてストーリーに深く入り込む...

 

これを達成するためのコツとしては、

 

「曲が流れている間は、絶対に歌詞から目を離さないこと」

 

自分は意外とこれが出来なかった。インターネッツでできることが増えたからこそ、逐一SNSやらニュースやらをチェックしてしまう。正直なところ、歌詞を熟読して音楽世界に入り込む体験をデジタルで味わうには少し難しいのでは、と不安にかられている。わざわざ歌詞サイトをお気に入りに入れるのか?それとも、歌詞を都度検索するのだろうか?とても面倒だ...

かと言って、今やCDを買う人の数は減少の一途を辿っているようだし、必ずしもアナログ媒体に拘る必要はない。(アートワークに触れるっていいよ、CDだけじゃなくて紙や芸術が好きな人はぜひ楽しもぅ...)

 

スマホ時代は動画がキテる!」と騒がれるweb界隈、日本より先んじて海外では数年前からアナログ離れをしたユーザー向け(?)に「Lyric Video」なるプロモーションビデオを、既存のPVと共に制作・公開をしている。(元々はファンメイドが主流だった)

www.youtube.com

日本の音楽業界でも徐々に浸透しているようだ。

www.youtube.com

ちなみにLyric Videoの場合は、文字以外の「動くビジュアル情報」も提供されているが、CDなどに付属した歌詞もアートワークの一部として組み込まれている。要は、静的か動的かの違いだけかもしれないが、画面内で色々動いている方が目を離しにくいというちょっとしたポイントがZ世代などにもウケが良いのではないだろうか。

 

話を戻すと、目をずっと詞に置いておくことで、文字から想起される様々な情報(画像や映像であることが多い)が自然と頭に浮かび上がり、それらが音と交わり新たな世界を脳内に作り出すのだ。夢と同じように記憶のシャッフルにより独自の混合物が生まれる。

まあ素敵じゃないか、意図的に夢が見られるサイケデリック・エクスペリエンス。

 

そしてようやくタイトルに至る...(2回目)

歌詞を読みながら音楽を鑑賞することのメリットの一つとして大きな発見だと思ったのが、よく眠れるようになるということだ。*個人差があります

これがまた意外と深く眠れる。

寝酒よりも読書よりも絶対に高い効果があるであろう眠りの深さたるや!

何故だろうか、歌詞を読むだけなのに、2,3曲程度で一気に意識が遠くなり、まぶたが重くなり、ガクッと気を失うことができるのでかなり急速に眠れる。*個人差があります

言ってはならないと思うけどこれはアレだ、テレビを見ながらソファで寝てしまった時に似ているのだ。

PCやスマホなどのスクリーンからブルーライトを浴びながら寝落ちすることは眠りの質低下に繋がるため、ここはぜひCDを買って歌詞カードを手に持ちながらまじまじと眺めてから眠りに落ちていただきたい。(歌詞カードないやつはどんまい)

 

とまあタイトルの話に持ってくるまで長々と書いたが、眠りの質が悪い方はぜひ、一度だけでも歌詞を読みながら寝落ちするライフハックを試していただきたい。