ふくろくん

コンテンツマーケティング、音楽、立ち話、そして牛乳

ラブレターのゴーストライター

http://www.flickr.com/photos/41894194320@N01/2699181969

photo by Katey Nicosia

こんばんは、ふくろくんです。

もう大分前になるのですが、「私はラブレターのゴーストライターだった」という話を読んだのを思い出しました。とても素敵な話なので、備忘録がてらこのブログに残しておこうと思います。

読んだのは以下の記事。


皆さんはラブレターって書いたことありますか?

キーボードやスマホディスプレイに慣れた今や手書きをすることも減って、ましてや人に見せられる字なんて書けやしないよ!という人も少なくないと思います。(ふくろです)

この記事の筆者は、一時的ではありますが、文字通り「ラブレターのゴーストライター」をしていたそうです。約10年前、アメリカはニューヨーク州のマンハッタンでの出来事。

 

ザ・ラブレタープロジェクト

筆者は、アーティストのJanaさんがアート活動として行った「ザ・ラブレタープロジェクト」のお手伝いとして雇われたそうです。

とある建物内にオープンスタジオを設けて、デスクと椅子とラップトップを用意して、そこに筆者が座る。そして、展示されたアートの鑑賞を目的に現れる人々・・・この人たちが今回のプロジェクトのターゲットとなり、興味がありそうな人から話を聞き出していきます。

はじめに「あなたは誰を愛していますか?」と質問をしてから、ゴーストライティングは始まります。

彼らから思い出話や伝えたい思いを引き出し、ラブレターを代筆して書き綴っていくのが「ザ・ラブレタープロジェクト」です。

 

一人目のお客さんは、中年の男性。

“Who do you love?” I asked.

He laughed.

“Does it have to be a romantic love?”

“No,” I said.

 

“Well, I have an idea,” he said.

“My son is leaving for college soon, and I’d like to write a letter to his mother, my ex-wife.”

He was proud of how they had managed co-parenting, though they had both remarried. He was glad they remained close friends. I took notes as he spoke.

This was an easy start, more of a friendly note really. “I worry that our connection takes away from what I have with my new wife.” He began to cry. “I still love her,” he said. He wished they had never divorced.

要約しますと、「近々大学に通うために一人暮らしを始める息子がいて、そのことを元妻に伝えたい」という内容になります。

その男性は、元妻と協力して子育てをしてきたことを誇らしく思っていました。今はお互いに別の相手と再婚してしまったそうですが、それでもなお親しい友人として関係を続けているそうです。そのこと自体も嬉しく思っているようで、ふくろもそれには単純に関心してしまいました。

ただ、話を続けていくうちに、彼は泣き出してしまいます。

実は彼自身、その「元妻をまだ愛している。離婚しなければ良かった」と思っていたそうなのです。

 

彼の話が終わり、そこから筆者がラブレターを編集して仕上げ、手紙に署名をしてもらいます。その後に相談者には2つ選択肢が与えられます。

「自分でラブレターを送るか、それともゴーストライターから送ってもらうか」

最終的に、彼は自身で手紙を送ることを決めました。実際に手紙は送られたのか、その後どうなったかなどは記述が無く、おそらく誰も知らないのでしょう。

ただ、書かれたラブレターの一部は元記事にありますので、男性の思いがそこに綴られています。興味のある方はぜひご覧ください。

2人目は人と目も合わせられないシャイな女の子

2人目の若い女の子は、プロジェクトに関してよくわかっていなかったらしく、筆者も最初は少し苦労したようです。

ひとまず、ラブレターを送る相手は、その子の親友(女)となりました。

Would she tell me about her friend?

“She’s nice.”

What did the two of them do together?

“Like, hang out.”

Could she tell me about a private joke between them, a special phrase, even if she didn’t want to tell me what it meant?

She shrugged.

And then something shifted and she said she was in love with her friend, had just realized she was gay, and she didn’t know how to tell anyone, especially the most important person.

問いかけに対する応答も最初は淡白なものでしたが、インタビューが進むにつれ、彼女はその親友を愛していることに気がつきました。つまり、彼女は自身が同性愛者であることを初めて認識したのです。しかし、どうやってその思いを他人、そして最も大事にしている人に伝えたら良いかを知りませんでした。

前回同様、筆者はなるべく相談者の言葉を使うように努めたそうです。しかし、彼女のある言葉が手紙をラブレターとして成り立たせるのに十分だったそうです。ふくろもその部分はとても気に入っているので、書かせて頂きますね。

Now that I have been in New York and away from you for the first time, I realize that I have always loved you. We used to say, "I'd cry very much if you died," but now I know that it isn't so complicated.

意訳させて頂きますと、

”ニューヨークに来て、初めてあなたと離れることになって、ずっとあなたを愛していたってことに気付いた。「あなたが死んだら本気で泣いちゃう」なんてよく言ってたけど、そんなに複雑なことじゃないってやっとわかったの。”

 

「愛する人が亡くなって悲しんで泣くこと」が「そんなに複雑じゃない」というのはどういう意味になるのでしょう。

「死んだ後がどうとか、そういうことじゃなくて、ただ単に今あなたのことを愛してるの!それが今わかったの!」のようなニュアンスなのでしょうか?

死んだ後の反応で愛を伝える(証明する)のではなくて、今自分が感じている愛をそのまま伝えようとしてこういう言い回しになったのかもしれません。

朧げだけど、そんな気持ちをストレートに表現しているような気がして、心に刺さります。

彼女についての記述はここまでとなっています。果たしてどうなったんでしょうか・・・

 

コンセプト自体は新しいものではない 

筆者はミックステープ(恋人のためにプレイリストを作ることです。カセットテープがまだ隆盛だった頃に若いカップルがよく行っていました)も、ラブレターのゴーストライティングの一部と言っています。

曲の歌詞に込められた思いと言葉は、送る側の気持ちと重なり、音楽と共に受け取る側へ思いを代弁してくれます。

The concept is not as new as it feels in the film, or as new as it felt to me nine years ago as part of an eccentric art project.

Mix tapes or playlists are a type of ghostwritten love letter, in which lyrics “speak” for the sender.

If someone you like tells you a song reminds them of you, you feel flattered, maybe moved, assuming the lyrics are romantic, hot and/or sad enough.

You don’t need to believe that the person presenting the song to you wrote those lyrics for the magic to work.

 

加えてラブレターそのものも、ゴーストライティングを含む部分があるのです。

文章力がない、もしくは適切な言葉を伝える表現の仕方がわからないときは、ポエムや詩などの引用を取り入れたり、他人が書いたものを借りて思いを表現することになります。

And love letters themselves often have a ghostwritten section.

The line or stanza of quoted poetry, dropped into the scrawling of a barely literate suitor, sometimes works to lend the sender depth—or to provide him with an apt expression he would be incapable of minting. 

  

終わりに:この記事を読んだ頃は・・・

確かこれを読んだのが、ちょうど佐村河内さんの話題が盛り上がっていた頃でした。タイミングが遅れてしまったのは残念です。

それはさておき、今回ご紹介した話は少し切ないですが、ふくろにとってはおそらく今年一番のとてもお気に入りのエピソードです。

ブロガーの意義を求めるのもある種意味があることだとは思いますが、皆さんもラブレターを書いてみて、まずはゴーストライター始めてみませんか?

 

話が逸れますが、映画館で観たいと思っていたスパイク・ジョーンズ監督の「her」の話もちらっと出てきたので、今度DVDが出るらしいので買って観ようかなと思い・・・おっと・・・欲望渦巻く宣伝になってしまいました・・・

 

*注:ブログフォーマットで少し見やすくする為に、少し文章のスペースを変えました。

 

ふくろ